HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)を行う際にこんな事に困っていませんか???
・なんか検査がうまくいかない、うまく進まない
・この患者さんもっと答えれるはずなのに
・聞きたいことを引き出せない

私は現在、回復期病院で働いている現役作業療法士。これまで数々の患者さんと接してきました。その中でも認知機能が低下している患者さんはたくさん!!病院、施設などの臨床場面では認知機能のスクリーニング検査としてHDS-Rがよく使われます。
この記事では実際の文献を用い、HDS-R実施時の気をつけるべきポイント2つを紹介したいと思います。それはラポール形成と環境調整.実は間違っている方法で評価を行っていたセラピストも多いのではないでしょうか???この際、正しい方法を知り患者さんの評価を行ってみてください!!
検査前のラポール形成が大事って話。
HDS-Rを実施する時に、いきなり質問から入っている人いませんか???検査の前にしっかり「ラポール形成」をしましょう!!

ラポール形成とは「相手との間に信頼関係や共感を築くこと」。信頼関係を築ければ、被検査者(患者さん)の不安・緊張・焦りをなくします。
この作業をせずにいきなり検査を実施するセラピストをよく見かけます(こんなことを言っていますが、私も実習生の時しちゃっていました、、、笑)。個人的にこのラポール形成で検査の8割が決まると思っています。検査結果に大きく影響を与えるラポール形成。ではどのようにラポール形成を行えばよいのでしょうか???
ラポールを形成するために以下の3つのポイントを押さえてください。
①日常会話の中で取り入れる②検査の目的をしっかり説明する③無回答の誤答をなくす
①検査と最初と最後に日常会話を取り入れてみましょう。最初の質問である「お歳はおいくつですか?」の前に「お名前を教えてください」と聞いてみましょう。名前→年齢の順で聞くことで自然な流れになります。また最後の質問のあとに「野菜はお好きですか?」「好きな野菜はありますか?」のように野菜に関する日常会話を取り入れてください。

HDS-R作成者によると
「最後の質問を野菜の名前にしたのは日常会話に戻しやすいという点もあったためである」と言っています。検査導入時の会話とアフターケアはとても大切です。検査前の不安・緊張状態を防ぐ、検査後の嫌悪感・自信喪失を防ぐためにぜひ取り入れてみてください。
②これはどの検査にも通じることですが、目的がはっきりしないとやる気が起きないですよね??「この検査はあなたのことをよく知るために行います」「この検査をもとにあなたの今後のリハビリに活かしたいです」「そのために協力してほしいです」と伝えてみましょう。検査の目的を説明することで患者さんとの信頼関係を築くことができます。
③「無回答の誤答」という言葉を知っているでしょうか??高齢者の場合、自信のないものには答えない傾向があります。これを「無回答の誤答」といいます。この現象が起こると、実際の能力よりも低く評価される場合があります。そうならないために患者さんを励まし、答えてもらうように誘導しましょう。
けっこう忘れがちな環境調整。
検査実施時にもう一つ大事なのが環境調整。以下の3つの環境は絶対にNG🙅♂️
①家族が同室している環境 ②人が大勢いる環境 ③カレンダーが見える環境

①リハビリに家族の見学がついている場合も多いと思います。患者さんが回答に自信がない場合家族に助けを求める可能性が考えられます。そのようなことがあれば検査の進行を妨げたり、
検査の妥当性が疑われます。正式な検査を行うために家族同室の環境は避けましょう。
②人が大勢いる環境では患者さんの注意がそれやすくなります。認知機能が低下している患者さんの中には検査中に注意散漫な場面が見られることがあります。それらを防ぐために個室などを準備するか、落ち着いた環境で行いましょう。
③これは結構忘れがちで、検査中に気づくこともあるでしょう。「日時の見当識」の項目で患者さんがわからないときにカレンダーを見ながら答えてしまう場合があります。カンニングを防ぐためにカレンダーは見えないように裏返して隠すか、移動させましょう。
この記事は以下の文献から引用しました.
加藤伸司(2023).改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の理解と活用.老年臨床心理学研究vol.4.pp42〜55.


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