リハビリ家屋調査のチェックポイント【玄関〜浴室を現役作業療法士が解説】

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こんにちは!!2年目作業療法士の「ぽこぽこ」です!!

「現地に着いたけど、どこから見ればいい?」「測るべき数値が多すぎて頭が混乱する……」

家屋調査に慣れていない頃、私もまったく同じ状態でした。場所ごとに何を見るべきか整理されていないと、現地で時間だけが過ぎていきます。

この記事では、玄関・リビング・寝室・トイレ・浴室・階段の6か所を「動作単位」で整理しました。「何を見るか」だけでなく「どう提案するか」まで書いているので、現場でそのまま使えます。

この記事を読むと分かること

✅ 場所ごとに「見るべき動作」と「採寸すべき数値」が分かる

✅ 各場所の具体的な提案例(手すり・踏み台・改修)が分かる

✅ 転倒リスクが高い「見落としやすいポイント」が分かる

家屋調査は「場所」ではなく「動作」で見る

競合記事のほとんどが「玄関→リビング→トイレ→浴室」と場所の順番に並べて終わっています。しかし現場では、「場所」より「その場所でどんな動作が起きるか」から逆算して見るほうが、提案がぶれません。

たとえばトイレを見るとき、「広さ」「手すりの有無」だけ確認して終わる人と、「立ち上がり→方向転換→衣服操作→着座」の動作ごとに必要なスペースと把持点を確認する人では、提案の精度がまったく違います。

「動作単位で見る」基本の考え方

① その場所でどの動作が一番困難か(起き上がり・立ち上がり・方向転換・昇降・またぎ)

② その動作に必要な「スペース・高さ・把持点」を採寸する

③ 採寸値と患者さんの能力値(病棟で事前に測定)を照らし合わせて提案する

この流れを頭に入れてから、場所別のポイントを読んでみてください。

① 玄関・アプローチ

転倒リスクが最も高い場所のひとつです。退院後に最初に「できないこと」が露呈する場所でもあります。玄関の段差・靴の脱ぎ履き・アプローチの状態を必ず確認します。

見るべき動作と採寸ポイント

動作 確認・採寸ポイント 目安値
上がり框の昇降 框の高さ・手すりの有無と位置 框高さ:標準18〜20cm。20cm超は段差解消台を検討
靴の脱ぎ履き 腰かける場所の有無・椅子を置けるスペース 腰かけ台の高さは立ち上がり可能な最低座面高に合わせる
アプローチの歩行 路面の状態(砂利・タイル・スロープ)・照明の有無 スロープ勾配:1/12以下が望ましい(車椅子は1/15以下)
車椅子での出入り 有効幅・スロープの設置可能スペース 有効幅80cm以上(框前の回転スペース含む)

玄関チェックリスト

  • ☑ 上がり框の高さ(  cm)
  • ☑ 手すりの有無・縦手すりか横手すりか
  • ☑ 靴を脱ぐときに座れる場所があるか
  • ☑ アプローチの路面状態と傾斜
  • ☑ 夜間の照明の有無
  • ☑ 車椅子が通れる有効幅(  cm)
💡 現場で気づいたこと:框の高さが20cmでも、靴を履く場所が暗かったり、ドアの開閉が重かったりするだけで転倒リスクが一気に上がります。「数値だけ見て大丈夫」と判断しないことが大切です。

主な提案例

住宅改修縦手すりの設置(框の昇降補助)/段差解消スロープの設置

福祉用具玄関用踏み台/玄関用腰かけ台(シューズボックスを代用できる場合も)

② リビング・居間

患者さんが退院後に一番長く過ごす場所です。「病前にどこで何をしていたか」を事前に聞いておき、その動線を中心に確認します。

見るべき動作と採寸ポイント

動作 確認・採寸ポイント 目安値
椅子・ソファからの立ち上がり 座面の高さ・アームレストの有無 座面高さが病棟で測定した「立ち上がり可能な最低高さ」以上か確認
床からの立ち上がり(畳の場合) 手をつく場所の有無・立ち上がり補助の必要性 手すりポールの設置を検討
室内移動(歩行・車椅子) 家具間の通路幅・段差(敷居・カーペット) 歩行器:70cm以上 / 車椅子:80cm以上の通路幅が必要
食事動作 テーブルの高さ・椅子の高さとのバランス テーブル高さ:座面+25〜30cmが目安

リビングチェックリスト

  • ☑ 椅子・ソファの座面高さ(  cm)
  • ☑ テーブルの高さ(  cm)
  • ☑ 通路幅の最小値(  cm)
  • ☑ 敷居・カーペットの端などの小さな段差
  • ☑ 畳の有無(床からの立ち上がりが必要か)
  • ☑ 日中いる場所から、トイレまでの動線距離
💡 現場で気づいたこと:「ソファが低い」問題は意外と多いです。ソファの座面に座布団を重ねるだけで立ち上がりが楽になることもあり、費用をかけない提案として喜ばれます。

主な提案例

住宅改修敷居の段差解消・手すりポールの設置

福祉用具椅子の脚にかさ上げ用補高足 / 立ち上がり補助手すり(据置型)

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③ 寝室

起床・就寝の動作を毎日繰り返す場所です。ベッドの有無・高さの確認が最重要です。布団生活の患者さんは、退院後にベッドへの切り替えが推奨されます。

見るべき動作と採寸ポイント

動作 確認・採寸ポイント 目安値
ベッドからの起き上がり・立ち上がり 現在のベッド高さ・サイドレールの有無 病棟で測定した「立ち上がり可能な座面高さ」にマットレス沈み込みを加えて調整
布団からの起き上がり 床からの動作が可能か・手をつく場所 困難な場合はベッドへの変更を提案(介護保険レンタル)
夜間のトイレ動線 寝室からトイレまでの距離・照明・段差 足元灯・センサーライトの設置で夜間の転倒リスクを下げる
ベッド周囲の移動 ベッド両側のスペース・車椅子が横付けできるか 車椅子移乗に必要なスペース:ベッド横に90cm以上

寝室チェックリスト

  • ☑ 布団 / ベッドの別
  • ☑ ベッド使用の場合:座面高さ(マットレス含む)(  cm)
  • ☑ ベッド両側のスペース幅(  cm)
  • ☑ 寝室→トイレまでの動線・距離・段差
  • ☑ 夜間照明の有無
  • ☑ 介護ベッドを置けるスペースがあるか
💡 現場で気づいたこと:「布団で寝たい」という患者さんの希望は多いですが、夜間の起き上がりの危険性を丁寧に説明することで、ベッドへの変更を受け入れてくれることもあります。どうしても布団が良ければ、床上動作の獲得が必要になります。

主な提案例

住宅改修手すりの設置(ベッド横の壁)/ 足元灯の設置

福祉用具特殊寝台(介護ベッド)レンタル / サイドレール / ベッド用手すり

④ トイレ

トイレは1日に何度も使う場所で、かつ転倒リスクが最も高い場所のひとつです。「広さが足りない」「手すりの位置が合わない」という問題が多く、ここを丁寧に見るかどうかで退院後の生活の質が大きく変わります。

見るべき動作と採寸ポイント

動作 確認・採寸ポイント 目安値
立ち上がり・着座 便座の高さ・手すりの位置(L字型が理想) 便座高さ:38〜40cm標準。低い場合は補高便座で対応
方向転換 トイレ内の有効幅・奥行き 有効幅80cm以上あると方向転換がしやすい
衣服の着脱 立位保持に使える壁・手すりの位置 片手を壁につきながら着脱できる環境が必要
ドアの開閉 開き戸 / 引き戸 / 折れ戸の別 開き戸はスペースが必要。引き戸が推奨される。

トイレチェックリスト

  • ☑ 便座の高さ(  cm)
  • ☑ 有効幅(  cm)× 奥行き(  cm)
  • ☑ 手すりの有無・位置・形状(縦 / 横 / L字)
  • ☑ ドアの形状(開き戸 / 引き戸 / 折れ戸)
  • ☑ 段差の有無(入口の框)(  cm)
  • ☑ 暖房便座・ウォシュレットの有無
💡 現場で気づいたこと:開き戸のトイレは「転倒時に内側から扉が開けられない」という救助の問題があります。住宅改修で引き戸に変更することが難しい場合は鍵をかけずに、開けたままにしておくことを伝えるだけでも安全性が上がります。

主な提案例

住宅改修L字手すりの設置 / ドアを引き戸に変更 / 段差解消

福祉用具補高便座 / 据置型手すり(突っ張り型)/ ポータブルトイレ

⑤ 浴室・洗面所

浴室は「濡れた床」「浴槽をまたぐ動作」「寒暖差によるヒートショック」など、複合的なリスクが重なる場所です。介護保険の住宅改修が最も多く使われる場所でもあります。

見るべき動作と採寸ポイント

動作 確認・採寸ポイント 目安値
浴槽のまたぎ 浴槽の高さ・またぎの方法(座ってまたぐ / 立ってまたぐ) 浴槽高さ:45〜55cmが標準。60cm超は座ってのまたぎが困難になりやすい
洗体・洗髪 シャワーチェアを置けるスペース・シャワーヘッドの位置 シャワーチェアが置けるスペース:50cm×50cm以上
浴室内の移動 洗い場の広さ・床の素材(滑りやすさ) 滑り止めマットは必須。浴槽縁と洗い場の段差も確認
脱衣所での着替え スペース・腰かける場所の有無・暖房の有無 冬場のヒートショック対策として脱衣所への暖房設置を提案

浴室チェックリスト

  • ☑ 浴槽の高さ(洗い場から)(  cm)
  • ☑ 浴槽のタイプ(和式 / 洋式 / ユニットバス)
  • ☑ 手すりの有無・位置(入口 / 浴槽縁 / 洗い場)
  • ☑ シャワーチェアを置けるスペースがあるか
  • ☑ 洗い場の床素材(タイル / 樹脂)
  • ☑ 脱衣所の暖房の有無
  • ☑ 浴室入口の段差(  cm)
💡 現場で気づいたこと:浴槽をまたぐ方向(どちらの足から入るか)を実際に患者さんにやってもらうと、麻痺側の使い方の問題が見えてくることがあります。「また来てから評価すればいい」ではなく、その場でシミュレーションすることが大切です。

主な提案例

住宅改修浴室手すりの設置(入口・浴槽縁・洗い場)/ 段差解消 / 滑り止め床材への変更

福祉用具シャワーチェア / 浴槽用手すり(差し込み型)/ 浴槽台 / 滑り止めマット

⑥ 階段

2階建て以上の住宅では、階段の評価が退院後の生活の幅を大きく左右します。「2階の寝室を使えるか」「1階だけで生活できるか」という生活設計にも直結する場所です。

見るべき動作と採寸ポイント

動作 確認・採寸ポイント 目安値
階段の昇降 段差の高さ・段数・手すりの有無と位置 段差高さ:病棟で測定した「手すりあり昇降可能な最大高さ」と照合
手すりの使い方 利き手側 / 麻痺側に手すりがあるか 手すりはその人の疾患にあわせた位置に設置
踊り場・幅 階段幅・踊り場の有無 踊り場がない直線階段は昇降が比較的容易

階段チェックリスト

  • ☑ 段差高さ(  cm)× 段数(  段)
  • ☑ 手すりの有無・どちら側か
  • ☑ 有効幅(  cm)
  • ☑ 踊り場の有無
  • ☑ 照明の有無(夜間に使用するか)
  • ☑ 1階だけで生活を完結できるか(代替案の検討)
💡 現場で気づいたこと:「階段が無理なら1階に寝室を移す」という提案のほうが安全で現実的なケースも多いです。家族の協力体制・寝室として使える部屋があるかを事前に確認しておくと、現地でスムーズに提案できます。

主な提案例

住宅改修手すりの設置(両側が理想)/ 滑り止め段鼻の設置

生活環境1階への寝室移動 / 階段昇降機の検討(費用が高いため最終手段)

まとめ:「動作から逆算」が家屋調査の基本

6か所を場所別に整理しましたが、すべてに共通するのは「動作から逆算して見る」という視点です。

玄関:框の高さ・靴脱ぎの動作・アプローチの状態を確認

リビング:椅子の高さ・通路幅・日中の動線を確認

寝室:ベッドの高さ・夜間動線・スペースを確認

トイレ:便座高さ・有効幅・ドア形状・手すり位置を確認

浴室:浴槽高さ・またぎ方向・シャワーチェアスペースを確認

階段:段差高さ・手すりの側・1階完結できるかを確認

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※ 採寸の目安値は一般的な基準です。患者さんの身体機能・生活環境によって異なるため、必ず個別に評価・判断してください。

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