【2026年改定】高次脳機能障害が重症患者に!OTの評価が病棟を救う

2026年 高次脳機能障害 重症患者 臨床

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ぽこぽこ
ぽこぽこ

こんにちは!!2年目作業療法士の「ぽこぽこ」です!!

先日、職場で2026年度(令和8年度)診療報酬改定の説明会がありました。

その中で、こんな説明を受けました。

高次脳機能障害の診断がある患者さんは、重症患者割合にカウントされるようになりました。

そのとき、私の頭にすぐ浮かんだ患者さんがいました。

注意障害・記憶障害が強くて、日常生活全般に支援が必要な方。でも基本動作は見守り〜接触介助レベルで、FIM運動項目は65点くらい。

私が思ったのは——

「え、FIM65点でなんで重症患者なの??」

FIMの点数だけ見ると「重症ってほどでもないな」と感じていたんです。でも説明会でいろいろ調べていくうちに、「あ、そういうことか」と腑に落ちました。

FIM点数が高くても、高次脳機能障害があれば生活障害は重い。 今回の改定はそこに着目した変更です。

この記事では、今回の「重症患者定義の変更」をOT目線でわかりやすく解説します。

✅ この記事でわかること

  • 「重症患者」の定義が改定前後でどう変わったか
  • なぜFIM65点でも「重症患者」になるのか
  • OTの評価・記録が病棟の施設基準を左右する理由
  • 明日から使えるカルテ記載の書き方・カンファレンスでの動き方

そもそも「重症患者割合」って何?

回復期リハ病棟には「入院料」という区分があり、重い患者を一定割合以上受け入れていないと、区分が下がって病院の収益に影響します。

この基準を「重症患者割合」といいます。

入院料区分重症患者割合の基準(改定後)
入院料1・2新規入院患者の35%以上
入院料3・4・入院医療管理料新規入院患者の25%以上
特定機能病院回復期リハビリ病棟新規入院患者の45%以上

つまり「誰が重症患者にカウントされるか」は、病棟の施設基準維持に直結する話です。

そしてその定義が2026年6月の改定で大きく変わりました。

改定前後で「重症患者」はここが変わった

まず表で全体像を確認しましょう。

変更点改定前(〜2026年5月)改定後(2026年6月〜)
FIMによる基準FIM総得点55点以下FIM総得点21〜55点
FIM20点以下の超重症患者重症にカウント重症カウントから除外
高次脳機能障害のある患者カウントされない重症患者として新たに追加 ★
脊髄損傷のある患者カウントされない重症患者として新たに追加 ★

大きな変化は2つです。

ひとつは「FIM20点以下の超重症患者が重症割合から外れた」こと。もうひとつが「高次脳機能障害・脊髄損傷が新たに重症患者として加わった」こと。

この”逆転”が今回の改定のポイントです。

「なんでFIM65点で重症なの?」——私が腑に落ちた理由

説明会を受けた直後、私は正直まだ「なんで?」という気持ちが残っていました。

でも担当患者さんの普段の様子を振り返ったとき、腑に落ちたんです。

その方はこんな状態でした。

📋 担当患者さんの様子(ぽこぽこの実体験)

  • 脳梗塞後。FIM運動項目65点くらい
  • 基本動作は見守り〜接触介助レベル
  • 注意障害が強く、料理中に途中で止まってしまう
  • 記憶障害で、昨日やったリハビリの内容を翌日には忘れている
  • 日常生活全般に声かけや確認が必要
  • 家族は「家に帰ってきても1人では何もできない」と不安を抱えている

現実の生活は?

料理ができない。1人で外出が難しい。仕事への復帰も見通しが立たない。家族の介護負担は相当大きい。

FIMは「動けるか」を測るもの。高次脳機能障害の本当の重さは、「生活できるか」にあります。

FIMで見えない部分に、OTが関わる意義がある——今回の改定は、そこをちゃんと評価する仕組みに変わったんだと私は理解しました。

「重症患者」としてカウントされる条件

高次脳機能障害があれば自動的にカウントされるわけではありません。対象疾患と算定期間の条件があります。

条件内容
対象疾患脳血管疾患・脊髄損傷・頭部外傷・くも膜下出血シャント術後・脳腫瘍・脳炎・急性脳症・脊髄炎・多発性神経炎・多発性硬化症・腕神経叢損傷等
算定期間(通常)算定開始日から150日以内
算定期間(重症例)高次脳を伴う重症脳血管障害・重度頸髄損傷・多部位外傷は180日以内

※「脳腫瘍・脳炎・急性脳症も含まれる」と明示されました。脳卒中だけでなく、外傷後遺症・腫瘍術後・感染性脳症なども対象です。

OTの評価が「重症患者かどうか」を決める

ここが一番大事なポイントです。

病棟が重症患者としてカウントするには「高次脳機能障害と診断された患者」という記録が必要です。

診断するのは医師。でも診断の根拠を作るのはOTの評価です。

流れはこうなります。

1.OTが入棟時に神経心理学的検査を実施する

2.評価結果+生活場面への影響をカルテに記録する

3.カンファレンスで「高次脳機能障害があります」と明言する

4.医師がその情報をもとに診断・記録する

5.病棟が重症患者割合に算入できる

OTの評価が抜けると、医師は診断の根拠がありません。診断記録がなければ病棟はカウントできない。

OTの評価精度が、病棟の施設基準維持に直結している——これが今回の改定が突きつけた現実です。

入棟時に実施したい神経心理学的検査

「どんな検査をすればいいの?」という声もあると思うので整理しました。

検査名評価できること特徴
CAT(標準注意検査法)注意機能全般下位検査が多く詳細な評価ができる
BADS(遂行機能障害症候群の行動評価)遂行機能・日常生活への影響生活場面を想定した課題が中心
HDS-R,MMSE記憶機能短時間で実施できる
WAIS-IV知的機能・作業記憶など網羅的だが時間がかかる
Rey複雑図形検査視空間認知・視覚記憶言語への依存が少ない

全部やる必要はありません。まずHDS-R,MMSEやCATの一部から始めて、段階的に追加するのが現実的です。

「検査の記録がある」こと自体が、診断の根拠として機能します。

「使えるカルテ記録」の書き方

検査をしても「TMT-A 110秒」とだけ書いて終わり、では医師も「で、どういう意味?」となります。

私が意識しているのは「数値+生活場面への影響+OTの解釈」をセットで書くことです。

📝 カルテ記載の例文

「TMT-A 110秒(健常成人平均比著明延長)。課題途中で経路を複数回誤り、自己修正に時間を要した。病棟でも食事中に注意が途切れて途中で止まる場面が見られる。注意障害が日常生活活動に大きく影響していると考える。」

このように書いておくと、医師がカルテを見たときに「高次脳機能障害あり」と記録しやすくなります。

カンファレンスで「高次脳あり」を伝える3つのコツ

評価できていても、カンファレンスで伝わらないと意味がありません。私が意識していることをまとめました。

コツ具体的な伝え方
① 明言する「高次脳機能障害があると考えます」とはっきり言う(「なんか注意が落ちてて…」とぼかさない)
② 数値を出す「TMT-Aが110秒で平均の2倍以上です」(数字があると説得力が増す)
③ 生活場面を話す「食事中に毎日気が散って止まっています」(現場の話は医師に刺さる)

FIM評価の精度も同時に問われている

重症患者のもう一つの軸「FIM総得点21〜55点」についても触れておきます。

ここで気をつけたいのが入棟時FIMの精度です。

実績指数は「退棟時FIM − 入棟時FIM = FIM利得」で計算されます。入棟時に過大評価すると利得が小さくなり、実績指数が下がります。

⚠️ ありがちなミス

「できそうだから5点にしておこう」はNG。FIMは「しているADL(最低限の介助で可能か)」を評価するもの。入棟直後は「している状態」を正確に記録しましょう。

OTのFIM評価1つが、病棟全体の実績指数に影響します。「自分の記録が病棟を支えている」という意識を持つだけで、日々の評価の質が変わってきます。

他の改定変更点もチェックしておこう

今回解説した「重症患者定義の変更」は、2026年改定の変更点のうちの1つです。

他の変更点も含めたまとめ記事・関連記事はこちら。

【令和8年】OTが知るべき改定の超重要ポイント3選

ぽこぽこの正直な感想

説明会のあと、担当患者さんのことを改めて考えました。

FIMは65点。数字だけ見れば「重症じゃない」。でもその方の毎日は、注意障害のせいで料理も外出も1人ではできない。記憶障害のせいで、昨日やったリハビリを今日また一から説明しなければならない。

FIMが測れない「生活の重さ」を、OTは毎日見ています。

今回の改定はその重さを制度として認めてくれたんだと、私は思っています。

高次脳機能障害の評価って、正直地味でわかりにくい仕事です。でもその評価が病棟の施設基準を守り、患者さんの退院後の支援につながる。

「なんで重症患者なの?」という疑問から始まって、今は「OTがやるべき仕事だ」という確信に変わっています。

まとめ

📌 この記事のまとめ

  • 2026年改定で高次脳機能障害・脊髄損傷が重症患者として新たに追加された
  • FIM20点以下の超重症患者は重症患者割合から除外された
  • 重症カウントには医師による「高次脳機能障害」の診断記録が必須
  • その根拠を作るのはOTの神経心理学的評価とカルテ記録
  • 評価→記録→カンファ報告の3ステップが病棟の施設基準を守る

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2026年改定でOTの業務量と責任は確実に増えました。高次脳機能障害の評価・FIM精度管理・カンファでの報告・退院支援の義務化……でも「うちの病院、給料が上がる気がしない」という現場も少なくないはずです。

改定を機に「もっと評価してくれる職場に移りたい」と感じているなら、まず情報収集だけでもしてみることをおすすめします。

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給料・年収の話はこちらの記事も参考にどうぞ。

【2026最新】作業療法士の年収はなぜ低い?現役OTが教える給料の壁を突破する3つのルート

よくある質問(FAQ)

Q. 高次脳機能障害の診断は誰がするのですか?

診断するのは医師です。ただしその根拠となる神経心理学的評価を実施し、生活場面への影響をカルテ・カンファレンスで報告するのはOTの役割です。

Q. 神経心理学的検査の時間が取れない場合は?

全検査を一度に行う必要はありません。短時間でできるHDS-R,MMSEやCATの一部から始め、段階的に追加するのが現実的です。「評価の記録がある」こと自体が診断の根拠になります。

Q. この改定はいつから適用されていますか?

2026年6月1日から施行されています。5月31日以前に入棟した患者には経過措置が適用されます。

📚 参考文献・引用元

⚠️ 免責事項

本記事は、2026年度(令和8年度)診療報酬改定における重症患者定義の変更について、現役作業療法士の視点でわかりやすくまとめたものです。記事の内容は執筆時点(2026年6月)の情報をもとにしており、その後の通知・疑義解釈の追加によって内容が変更される場合があります。なお本記事で紹介した神経心理学的検査の実施・解釈および高次脳機能障害の診断は、必ず各専門職・医師の判断のもとで行ってください。実際の算定・請求については、必ず最新の厚生労働省通知および所属施設の医事課・管理者にご確認ください。本記事の内容を参考にした結果生じたいかなる損害についても、当ブログは責任を負いかねます。

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